海沿いだから興奮する

人気急上集中の観光スポット、石川県!

海沿いだから興奮する

あの映画の舞台にもなった能登金剛

石川県といえば、やはり海沿いに面した県とだけあって周辺の観光をするときには何かと海と接する機会が多くなります。月うさぎの里は例外にしても、先に紹介した千里浜なぎさドライブウェイの魅力は砂に自動車のタイヤが取られない中で快適に走行できるという点だ。海はなんだか人を心なしか大きくしてくれる存在ですが、使い方を少し間違えただけで人を簡単に淘汰する存在でもある。ですがその巨大さがより寛容とも言えなくもない雰囲気に見えてくるのですから、見方を少し変えるだけで全く世界観は異なってくる。

そんな海沿いの観光名所でここもいつかは訪れてみるといいポイントがあります。『能登金剛』と呼ばれるそこは、30km近くまで広く続いている海岸となっている。ここの魅力というのは、そんな長い海岸線上に連なるよう存在している奇岩や断崖などがあることだ。崖沿いとは確かに危険極まりないところですが、無性に心躍らされる気持ちになることもあるでしょう。恐怖はもちろんあります、ですがそれはそれ、これはこれといった感じで観光名所として訪れれば圧倒的な風景に虜になってもおかしくない。

能登金剛という名称からしても強そうなイメージですが、この名前は韓国にある景勝地『金剛山』に匹敵する景観として名づけられたところが原点となり、日本きっての景勝地としてもその名が知られている。そんな能登金剛に来てどうするんだという意見を持つ人もいるので話をしていくと、この能登金剛にある断崖絶壁がつい数年前まで立ち入りが禁止されている地域だった。

ゼロの焦点、舞台地

能登金剛が有名になった理由には、とある作品の舞台設定に採用されたことが大きく関係している。その作品とは、あの松本清張先生作の『ゼロの焦点』がそれにあたる。作中に登場する断崖絶壁は能登金剛にある『ヤセの断崖』と呼ばれる場所がモデルとなり、後に映画もそこで撮影されていたという。これによってこの辺り地域、能登金剛を始めとしたスポットが観光名所としての色向きを持ち始めていった。何かしらの作品で取り上げられればやはり強いのは何処の世界でも同じのようだ。

そうなると多くの人が押しかけてきたのではないかと思うかもしれません、ですが観光名所として訪れる人が増えたのはまだ数年程度しか時間が経過していなかったのです。それこそつい最近と言っても構わないレベルだ。名前が広がり、多くの人が訪れようとする中でどうして名所にならなかったのかというと、その理由にはこのヤセの断崖周辺があまりに観光に適さない地形であり、別名『自殺の名所』などと言われるような場所だったのです。

手すりが全く無かった

実際、自殺者が増えた時期もあったという。因果関係が本当にあるかどうかはともかくだが、映画ゼロの焦点が放送されることで多くの人にある種の焦燥感をもたらしました。やがてそれは生きることに疑問を持っていた人たちの心を惑わすものとなり、断崖絶壁から命を絶つ人が続出したという。それはまさしくゼロの焦点で犯人が追いつめられた矢先にその命を終わらせた場所として知られすぎたがため、後を追うように無くなる人がなんと18人もいた。

信じられない話ですが、何だか本当にあったと言われても全然不思議にすら感じないのは気のせいではないでしょう。そもそもこのヤセの断崖周辺には手すりなどの安全柵がまるで存在しておらず、人が死ぬためのシチュエーションがまるでお膳立てされているかのような風景が広がっていたのです。そうでなくても滑落事故が起きてもおかしくない現場で、下を向いて歩くには少しばかり恐怖があるというような問題も起こりやすい。

解禁へ

ヤセの断崖はそうした特性から2008年頃まで一般人の立ち入りは許可できないと進入禁止区域に指定されていたのだ。しかし作品の舞台だからと訪れるファンが、皆が皆お行儀よくしてくれているとは限りません。過激なファンともなれば、舞台をこの目で見たいという人が出てきたとしても何ら不思議な話ではないからだ。この話に通じるのは、某ジャニーズJr.のアイドルグループがPVなどを撮影した場所でファンが押しかけ、私有地にもかかわらず連日大勢のお客さんがおしかけたという。それも決まってマナーをきちんと守る人ばかりではなく、私有地での傍若無人ぶりが目に余るとしてファン心理にある種のしこりを遺した。

そんなヤセの断崖も現在では崖の手前に策が構築され、崖側か一望できる日本海は圧巻として観光名所にその名を連ねることに成功する。ゼロの焦点という作品もかなりセンセーショナルだったが、舞台となったあの断崖絶壁がまさかの石川県だったとは、かなり驚きでもある。

付近にはあれも

そんな能登金剛の付近には、先ほど軽く紹介した世界一長いベンチが存在しているのです。それはそれでどうしてこんなセレクトになったのかと問いたくなる人もいるでしょうが、逆に考えると死者を出さないよう人目のつく場所にベンチを造ったとも考えられなくもない。

自然の雄大さと畏怖、その全てが濃厚に凝縮されている能登金剛に訪れてみると、ゼロの焦点の世界で行われたあの惨劇の場が何を物語っているか、それが分かるかもしれません。興味がある、崖ってなんだか興奮するからとにかく行きたいんだと本能のままに衝動に駆られる場合でも、きっと楽しめる事間違い無しだ。